電気代の基本料金・電気量料金とは?仕組みや電力会社の選び方について解説

電力会社を乗り換えるときに「基本料金」や「電気量料金」といった項目が、どういった料金を示しているのか分からない人もいるのではないでしょうか。
電気代を抑えるためには、基本料金などの意味を理解し、自分に合った料金プランを選ぶことが大切です。
本記事では、電気代の基本料金や電気量料金、電力会社の選び方などについて解説します。
電気代が決まる仕組みについて
電気料金は、一般的に「基本料金」+「電気量料金(燃料費調整額を含む)」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」などで計算できます。
電力会社によって、基本料金が0円であったり、電気量料金が市場連動型プランであったりとさまざまです。
しかし、どの電力会社でも消費者に不利益な支払いをさせないために「電気料金の三原則」に基づき計算されています。
電気料金の三原則は、以下のとおりです。
【原価主義の原則】 料金は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものでなければならない 【公正報酬の原則】 設備投資等の資金調達コストとして、事業の報酬は公正なものでなければならない 【電気の使用者に対する公平の原則】 電気事業の公益性という特質上、お客さまに対する料金は公平でなければならない |
参考元:電気料金のしくみ - 電気事業について | 電気事業連合会
つまり、電気料金は、電気を安定して発電・送電・配電・販売するために必要な費用を回収するものであり、電力会社が過度に利益を得るための金額ではないことを定めています。
電気料金(電気代)の計算方法
上記で説明したとおり、電気料金は一般的に「基本料金」+「電気量料金(燃料費調整額を含む)」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」で構成されています。
それぞれの意味や計算方法について見ていきましょう。
- 基本料金とは?
- 電気量料金とは?
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金とは?
基本料金とは?
基本料金とは、電力会社が供給する電気を利用するための固定料金です。
つまり、電気を一切使わなかったとしても支払わなければいけないものとなります。
電力会社のプランにより基本料金は異なります。
基本料金の役割としては、一般的に、電力会社に必要な人件費・機材費・設備費などを賄うというものがあります。
電力会社によっては、基本料金のことを「最低料金」と呼ぶ場合がありますが、意味は同じです。
基本料金は固定の料金ですが、必ず料金が発生するとは限りません。

シナネンあかりの森でんきは、基本料金という形ではなく、電気を送るための費用「託送料金相当額」を申し受けています。
電気量料金とは?
電気量料金とは、使用した電気量によって発生する料金です。電力会社によって、名称が「電力量料金」という場合もあります。
つまり、電気を多く使えば電気量料金が高くなります。
電気量料金の求め方は、以下のとおりです。
電気使用量=1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh) |
電力会社の多くは電気使用量の単価が3段階に分かれています。これを「三段階料金」といいます。
三段階料金について詳しく見ていきましょう。
三段階料金
三段階料金は、電気使用量が一定以上増えるたびに、1kWhあたりの単価が高くなるシステムです。
例えば、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bというプランの場合、電気量料金は以下のとおりです。
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 29円80銭 |
121kWhをこえ300kWhまで | 36円40銭 | |
301kWhをこえる分 | 40円49銭 |
参考元:東京電力
基本的には第一段階が一番安く、第三段階が一番高くなっています。電力会社によって二段階までしかないプランや、電力量料金単価が一律のプランなどがあります。
シナネンあかりの森でんきでは、市場連動制を導入しているため、電力量料金(電気量料金)はでんきの市場価格によって変動します。
市場価格が安い状態が続く、もしくは市場価格が安い状態のときに電気を使うことができれば、電気料金を抑えることが可能です
燃料費調整額
電気量料金には、燃料費調整額が含まれることが一般的です。
燃料費調整額とは、火力発電に使われる燃料費の変動に合わせて、調整される金額です。
燃料費調整額は、以下の計算式で求められます。
燃料費調整額=燃料費調整単価 × 使用電力量 |
燃料価格が上昇すると電気料金に加算され、燃料価格が低下すると電気料金から差し引かれます。
各月の燃料費調整額は、電力会社が発表しているため参考にしてください。
なお、シナネンあかりの森でんきでは、燃料費調整額は採用しておりません。
燃料費調整額を踏まえると、電気量料金の計算式は以下のようになります。
電力量料金 =(電力量料金単価 × 使用電力量)± 燃料費調整額(燃料費調整単価 × 使用電力量) |
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは?
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは、電力会社が再生可能エネルギー事業者から購入した金額の一部を利用者が負担する金額です。
再エネ賦課金は、以下の計算式で求められます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金=賦課金単価×使用電力量 |
再エネ賦課金は、経済産業省が1年に1度発表します。2024年度の再エネ賦課金は、3.49円/kWhです。どの電力会社も再エネ賦課金は変わりません。
そのほか、電力会社によっては、容量拠出金等料金や再生可能エネルギー100%料金を設定している場合があります。
電気料金には2つの料金制度がある
電気料金には「アンペア制」と「最低料金制」の2つがあります。
それぞれについて見ていきましょう。
- アンペア制とは?
- 最低料金制とは?
アンペア制とは?
アンペア制とは、契約アンペア数によって基本料金が異なるプランのことです。
契約アンペア数が高くなるほど、基本料金も比例して高くなります。
契約アンペアについては、こちら「電気の「契約アンペア数」の選び方次第で節約にもなることを解説 | 電気や環境問題のことならシナネンあかりの森メディア」を参考にしてください。
最低料金制とは?
最低料金制とは、アンペア数に関係なく毎月必ず発生する料金です。
最低料金以上の電気を使用した場合、料金を上乗せして支払う必要があります。
最低料金制を採用している大手電力会社は、関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力です。
【地域別】大手電力会社の基本料金はいくら?

電気料金は電力会社によって異なります。ここでは、大手電力会社の家庭用プランを一部紹介します。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力
- 中部電力
- 北陸電力
- 関西電力
- 中国電力
- 四国電力
- 九州電力
- 沖縄電力
それぞれ見ていきましょう。
北海道電力
エネとくポイントプラン(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 10A | 292円60銭 |
15A | 493円90銭 | |
20A | 695円20銭 | |
30A | 1,097円80銭 | |
40A | 1,500円40銭 | |
50A | 1,903円00銭 | |
60A | 2,305円60銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 35円35銭 |
120kWhをこえ280kWhまで | 41円64銭 | |
280kWhをこえる分 | 45円36銭 |
参考元:北海道電力
東北電力
よりそう+eねっとバリュー(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 10A | 314円60銭 |
15A | 499円40銭 | |
20A | 684円20銭 | |
30A | 1,053円80銭 | |
40A | 1,423円40銭 | |
50A | 1,793円00銭銭 | |
60A | 2,162円60銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 29円62銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 36円37銭 | |
300kWhをこえる分 | 40円32銭 | |
最低月額料金 | 303円95銭 |
参考元:東北電力
東京電力
スタンダードS(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 10A | 311円75銭 |
15A | 467円63銭 | |
20A | 623円50銭 | |
30A | 935円25銭 | |
40A | 1,247円00銭 | |
50A | 1,558円75銭 | |
60A | 1,870円50銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 29円80銭 |
121kWhをこえ300kWhまで | 36円40銭 | |
301kWhをこえる分 | 40円49銭 | |
最低月額料金 | 328円08銭 |
参考元:東京電力
中部電力
ポイントプラン(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 10A | 321円14銭 |
15A | 481円71銭 | |
20A | 642円28銭 | |
30A | 963円42銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 21円20銭 |
121kWhをこえ300kWhまで | 25円67銭 | |
301kWhをこえる分 | 28円62銭 |
おとくプラン(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 40A | 1,284円56銭 |
50A | 1,605円70銭 | |
60A・6kVA | 1,926円84銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 21円20銭 |
121kWhをこえ300kWhまで | 25円67銭 | |
301kWhをこえる分 | 28円62銭 |
参考元:中部電力
北陸電力
従量電灯B(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 10A | 302円50銭 |
15A | 453円75銭 | |
20A | 605円00銭 | |
30A | 907円50銭 | |
40A | 1,210円00銭 | |
50A | 1,512円50銭 | |
60A | 1,815円00銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 30円86銭 |
121kWhをこえ300kWhまで | 34円75銭 | |
301kWhをこえる分 | 36円46銭 | |
最低月額料金 | 302円50銭 |
参考元:北陸電力
関西電力
従量電灯A(最低料金制)
種別・区分 | 料金単価 | |
最低料金(1契約あたり) | 522円58銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 20円21銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 25円61銭 | |
300kWhをこえる分 | 28円59銭 |
参考元:関西電力
中国電力
スマートコース(最低料金制)
種別・区分 | 料金単価 | |
最低料金(1契約あたり) | 669円92銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 15kWhをこえ120kWhまで | 32円01銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 39円43銭 | |
300kWhをこえる分 | 41円55銭 |
参考元:中国電力
四国電力
おトクeプラン(最低料金制)
種別・区分 | 料金単価 | |
最低料金(1契約あたり) | 666円89銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 1kWhをこえ120kWhまで | 30円65銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 37円27銭 | |
300kWhをこえる分 | 41円55銭 |
参考元:四国電力
九州電力
スマートファミリープラン(アンペア制)
種別・区分 | 料金単価 | |
基本料金 (1契約あたり) | 10A | 316.24銭 |
15A | 474.36銭 | |
20A | 632.48銭 | |
30A | 948.72銭 | |
40A | 1,264.96銭 | |
50A | 1,581.20銭 | |
60A | 1,897.44銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 最初の120kWhまで | 23.97銭 |
121kWhをこえ300kWhまで | 34円75銭 | |
301kWhをこえる分 | 36円46銭 | |
最低月額料金 | 302円50銭 |
参考元:九州電力
沖縄電力
グッドバリュープラン(最低料金制)
種別・区分 | 料金単価 | |
最低料金(1契約あたり) | 643円05銭 | |
電力量料金 (1kWhあたり) | 1kWhをこえ120kWhまで | 40円20銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 45円26銭 | |
300kWhをこえる分 | 46円59銭 |
参考元:沖縄電力
電力会社を選ぶときのポイント
電力会社を選ぶときは、以下のポイントを押さえましょう。
- 複数の電力会社を比較する
- 家庭のライフスタイルに合った料金プランを選ぶ
- 解約金や違約金が発生するか確かめる
複数の電力会社を比較する
現在、多くの電力会社が電気を提供しています。
基本料金や料金プランなどは各社で異なるため、複数の電力会社を比較しましょう。
比較することで、安い電力会社を見つけやすくなります。
多くの電力会社には料金シミュレーションがありますので、電気料金や電気使用量を入力して、年間どのくらい安くなるか確かめましょう。
家庭のライフスタイルに合った料金プランを選ぶ
料金プランは価格だけでなく、家庭のライフプランに合っているかが重要です。
例えば、日中ほとんど家にいない家庭が、昼間に電気量料金が安くなるプランを選んでも恩恵を受けられません。
オール電化の家庭がオール電化向けのプランを選ぶように、各家庭のライフスタイルに合った料金プランを見つけましょう。
解約金や違約金が発生するか確かめる
解約金や違約金、契約年数縛りなどがあると乗り換え時に足かせとなってしまいます。
特に一人暮らしや転勤が多い人は、電力会社を乗り換える可能性が高いため、確認しておきましょう。
まとめ
一般的には基本料金が設定され、電気使用量に応じて料金が高くなる三段階料金を採用している電力会社が多くあります。
しかし、電力小売自由化以降は、さまざまな料金プランが増え、自由に選べるようになりました。
シナネンあかりの森でんきでは、市場連動型プランを採用しています。
市場連動型プランは、三段階料金ではなく、30分ごとに電気量料金が変動するのが特徴です。
電気量料金の安い時間帯に電気を使えば、無理なく節約できます。
ぜひこれを機に、料金プランの見直しをしてはいかがでしょうか。