法人向けコラム

大気汚染の原因・現状・対策をわかりやすく解説【私たちにできることは?】

大気汚染の原因・現状・対策をわかりやすく解説【私たちにできることは?】

大気汚染に関する問題は、日々メディアなどが報道しています。そんな中「私たちにできる対策はないのだろうか」と考える人も多いのではないでしょうか?
本記事では、大気汚染の原因や現状、対策などをわかりやすく解説します。大気汚染に関する知識を深めて私たちにできることを模索しましょう。
個人で行うことも大切ですが、企業や国が行う方が影響力は大きいため、とくに法人の方は積極的に行動に移しましょう。

大気汚染は人間の社会活動が原因?

大気汚染は私たち人間の社会活動による「人為起源」と火山や砂漠などの「自然起源」の2つがあります。

しかし、大気汚染の主な原因は、工場の煙や物流・人流で使用される自動車から出る排気ガスなどの大気汚染物質だと言われています。

大気汚染物質の中でも日本政府が「大気汚染防止法」で定めているのが以下の6つです。

ばい煙硫黄硫化物(SOx)、ばいじん(すすなど)、有害物質(窒素酸化物(NOx)、カドミウム、塩素、塩化水素、フッ素、鉛など)
粉じん一般粉塵(セメント粉、石灰粉、鉄粉など)、石綿
自動車排出ガス一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、鉛化合物、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)
特定物質化学合成・分解その他の科学的処理に伴い発生する物質のうち人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれのある物質28種類(フェノールなど)
有機大気汚染物質有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質248種類(ベンゼン、トリクロロエチレンなど)
揮発性有機化合物(VOC)大気中に排出、または飛散したときに気体となった有機化合物

引用元:大気汚染の原因|独立行政法人環境再生保全機構

これらの大気汚染物質が問題視され始めたのは、高度経済成長期である1960年代から1980年代です。

とくに工場地帯のような工場が密集している地域を中心に大気汚染が発生し、また大都市では自動車やディーゼル車から排出される二酸化窒素や浮遊粒子状物質が問題となりました。

日本における大気汚染の現状とは

日本では現在、大気汚染防止法の制定(1968年)と大気環境基準の設定(1969年)の2つにより排出規制を行うことで、とくに硫黄酸化物(SOx)や一酸化炭素(CO)を削減しました。

「令和3年度大気汚染物質(有害大気汚染物質等を除く)に係る常時監視測定結果」をもとに、どれほど削減しているのか見ていきましょう。

PM2.5濃度の年平均値の推移

引用元:令和3年度 大気汚染状況について | 報道発表資料 | 環境省

まずはPM2.5濃度の年平均値です。2010年(平成22年)から2021年(令和3年)までに一般局では6.8 μg/m3、自排局では8.4μg/m3まで削減しています。

一酸化炭素濃度の年平均値の推移

引用元:令和3年度 大気汚染状況について | 報道発表資料 | 環境省

次は一酸化炭素濃度の年平均値の推移です。1971年(昭和46年)から大幅に削減していき2021年(令和3年)までに一般局では2.2ppm、自排局では4.4ppm削減しています。

二酸化硫黄濃度の年平均値の推移

引用元:令和3年度 大気汚染状況について | 報道発表資料 | 環境省

次は二酸化硫黄濃度の年平均値の推移です。こちらも1971年(昭和46年)から大幅に削減していき2021年(令和3年)までに一般局では0.021ppm、自排局では0.029ppm削減しています。

上記のグラフを見れば、PM2.5濃度、一酸化炭素濃度、二酸化硫黄濃度のすべてを削減できていますが、近年では光化学オキシダントが増加傾向にあります。

光化学オキシダントとは、自動車の排気ガスや工場などに含まれている窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)が、太陽の紫外線を受けて光化学反応し、酸化力の強い物質に変わったものです。

以下のグラフは、光化学オキシダントの年平均値の推移を表したものです。

光化学オキシダントの年平均値

引用元:令和3年度 大気汚染状況について | 報道発表資料 | 環境省

日本が行っている大気汚染対策      

現在日本が行っている主な大気汚染対策は以下の3つです。それぞれの対策を見ていきましょう。

大気汚染防止法

大気汚染防止法は1968年に制定された法律で、以前に制定された「環境基本法」で定められた環境基準を達成するために設けられました。

大気汚染防止法は、工場や事業所などから排出される大気汚染物質について、物質の種類・施設の規模ごとに排出基準を設定し、その基準を守らなければならない、としています。

大気汚染防止法で規制している大気汚染物質は「ばい煙」「粉じん」「自動車排出ガス」「特定物質」「有機大気汚染物質」「揮発性有機化合物(VOC)」の6つです。


EST(環境的に持続可能な交通)

EST(環境的に持続可能な交通)とは、OECD(経済協力開発機構)が提案した新しい政策ビジョンであり、長期的に交通・環境政策の策定・実施を行う取り組みです。

私たちの日常生活において「交通」は欠かせない存在ですが、現状のままでは大気汚染が広がり、やがて生活が困難な状況が訪れてしまいます。

そのため、人々に交通のあるべき姿を示すことで意識改革を促し、環境負荷の少ない交通行動や生活様式を選択してもらうことがESTの目的です。

具体的には、自動車に依存せず公共交通機関の利用を促進するなどESTの実現する地域を募集し、ESTモデル地域やEST普及推進地域を選定しました。

現在でも、バスの活性化や次世代型路面電車システムの整備など公共交通機関の利用促進や、低公害車の導入促進などの政策を強化しています。


エコドライブ10のすすめ

エコドライブ(環境への負荷が少ない自動車の利用)の取り組みとして「エコドライブ普及連絡会」を設置し、普及と推進をしているのが「エコドライブ10のすすめ」です。

具体的な10のすすめは以下の通りです。

1ふんわりアクセル「eスタート」
2車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
3減速時は早めにアクセルを離そう
4エアコンの使用は適切に
5ムダなアイドリングはやめよう
6渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
7タイヤの空気圧から始める点検・整備
8不要な荷物はおろそう
9走行の妨げとなる駐車はやめよう
10自分の燃費を把握しよう

引用元:エコドライブ10のすすめ | 大気環境・自動車対策 | 環境省

大気汚染を防ぐために私たちができることを考えよう

大気汚染を防ぐために私たちには何ができるのか考え、行動していきましょう。

企業ができること

企業ではどのような取り組みができるのか、大気汚染対策を行っている企業を参考に例を見ていきましょう。

ヤマトホールディングス株式会社

運送業であるヤマトホールディングスは、車両とは切っても切れない存在であるため、環境方針のもと取り組みを行っています。

具体的には、大気汚染物質となる「粒子状物質」「窒素酸化物」の排出が少ない車両への変更、また車両を使用しない自転車での集配を行っていることも特徴的です。

株式会社クボタ

クボタは、生産拠点の工場から排出される大気汚染物質の削減に取り組んでいます。

具体的には、法令や条例の排出基準よりも厳しく自社設定を設け、基準値を超えないように日常管理を徹底しています。

個人でできる取り組みと基本的には同じですが「省エネを意識する(電力の見直し)」「大気汚染物質の排出を減らす」の2つを徹底して行いましょう。


個人ができること

個人でできることは「省エネに努める」「自動車の交通量を減らす」の2つです。

大気汚染物質を排出するものに発電所も含まれているため、節電・省エネを徹底することで間接的に大気汚染防止につながります。

こまめな節電や電気会社を見直し、環境にやさしい業者を選びましょう。

また自動車の利用を減らし、公共交通機関を利用することも大気汚染防止の1つです。

近い距離であれば徒歩や自転車で移動する、「エコドライブ10のすすめ」に沿った運転を意識するなどの取り組みを行いましょう。

まとめ

大気汚染が進行すれば、地球は私たち人間が暮らすことのできない環境へと変わってしまいます。

大気汚染はとくに私たちの社会活動が原因であるため、私たちの行動次第で未来を変えることが可能です。

大気汚染を防止するには「省エネを意識する(電力の見直し)」「大気汚染物質の排出を減らす」の2つが重要です。

シナネンでんきでは、自然エネルギー100%の電気を皆さまに供給しています。

二酸化炭素の削減はもちろん、「あかりの森プロジェクト」を通じて環境保全活動に対して積極的に活動を行っています。

大気汚染が気になっている方は選択肢の一つとして、ぜひ一度ご検討ください。