海面上昇とは?原因や対策、このままだと日本はどうなるのか解説
地球温暖化による影響の一つに「海面上昇」があります。地球の海面は上昇し続けており、1993年から2022年までの約30年間で9.1センチメートル上昇しています。このままいけば、日本が消滅してしまう可能性もゼロではありません。
海面上昇は、地球に住む私たち全員の問題です。原因や対策を知って、私たちのできる取り組みをしましょう。
海面上昇とは?
海面上昇とは、海水温の上昇や氷河・氷床の融解によって、海面が上昇する現象のことです。海面が上昇することで、海の生態系や農作物などさまざまなところに被害が及びます。日本は海に囲まれているため、海面上昇の被害を避けることは不可能でしょう。
海面上昇の原因
海面上昇の原因は、以下の2つです。
- 海水温の上昇による「熱膨張」
- 氷河や氷床の融解
それぞれの原因について解説します。
海水温の上昇による「熱膨張」
地球温暖化によって海水の温度は上昇しています。海水の温度が上昇することで、海水の体積が大きくなり、大きくなった分だけ海面が上昇します。この現象が「熱膨張」です。
地球温暖化で温められた熱の90%以上は、海にたまっていきます。私たちが普段何気なく眺めている海は、膨大なエネルギーをためているのです。例えば、20℃の海水は1℃上昇するだけで、体積が約0.025%膨張します。
地球温暖化対策を徹底しなければ、海水温はどんどん上昇し、私たちの住める場所が少なくなってしまいます。個人個人が、今から行動に移すことが大切です。
氷河や氷床の融解
地球温暖化によって氷河や氷床が解けると海面が上昇します。しかし、北極海に浮かぶ氷など海中にある氷が解けてもあまり影響はありません。海中にある氷は海の一部なので、変動が少ないのです。
注意すべきは陸上の氷河や氷床です。グリーンランドや南極を覆う氷床は、融解の速度が上がっています。これ以上融解の速度を上げないためにも、地球温暖化対策が重要です。
海面上昇による私たちへの被害
海面上昇は私たちの生活に被害を及ぼします。特に日本は海に覆われているため、海に接する都道府県では被害が予想されます。海面上昇による私たちへの被害としては、以下の3つです。
- 海の生態系が悪化する
- 農作物が失われる
- 気候難民が増える
海の生態系を悪化させる
海面上昇は海の生態系を悪化させる要因になっています。代表例としては、サンゴ礁の白骨化です。サンゴ礁は海の生態系に関わる重要な役割を担っており、以下のような役目を果たしています。
・全海洋生物の25%が居住地として活用している ・海の森といわれ、陸上の森と同じように二酸化炭素の循環を担っている ・防災機能 |
サンゴ礁は、海面上昇や水温上昇により環境面でストレスがかかると白骨化してしまいます。サンゴ礁は陸上でいう「森」の役割を果たしているため、サンゴ礁が死滅すると危険です。イメージとしては、陸上の森が枯れ、砂漠化が進んでいる状況と同じです。
全海洋生物の25%がサンゴ礁に依存しているため、サンゴ礁が死滅すると海洋生物に多大な影響を及ぼします。サンゴ礁を保全するためにも、海面上昇を食い止めねばなりません。
農作物が失われる
海水は農作物に悪影響を与えます。農作物に海水が浸食すると土壌中の塩分濃度が高くなり、塩害を引き起こします。塩害は、根の給水機能を低下させ、根腐れを起こす原因です。海面上昇により農地に海水が混ざってしまうと、農作物が育たなくなってしまいます。
例えば、ツバルでは海面上昇によって農地が浸水してしまい、主食であるタロイモが育たなくなってしまいました。日本は、まだツバルのような被害に遭っていないため実感が湧かないかもしれません。しかし海面上昇が進めば、私たちが住むこの地も多大な影響を受けることになるのです。
気候難民が増える
気候難民とは、気候の影響でもともと住んでいた居住地がなくなり、移住を余儀なくされる人々のことです。海面上昇が深刻化すれば、ツバルやモルディブ、マーシャル諸島、キリバスなどの島国で気候難民が増えてしまいます。
また島国だけでなく、海岸沿いにある都市も懸念されています。例えば水の都「ベネチア」は、19世紀から28cmも海面が上昇したことで、大きな被害を受けている都市です。高潮により町の85%が浸水するほど海面上昇による影響が大きく、街の存続に大きな脅威をもたらしています。
海面上昇が進めば日本はどうなるの?
海面上昇は島国である日本にとって、大きな脅威です。環境保護活動をしている「グリーンピース・ジャパン」の調査によると、積極的な気候危機対策を怠ってしまうと、2030年に東京は浸水するとのことです。
海面が上昇し、台風や高潮の影響を受けると東京では約83万人、愛知では約80万人、福岡では約78万人に被害が及ぶと予想されています。また日本では30年前から水位が8.7cmも高くなっており、このまま進めば日本の浜辺が消滅してしまう恐れがあるのです。
参考元:洪水マップ
海面が1m上昇した場合、新潟県の大部分が浸水の被害に遭います。その他にも広島や茨城、愛知、佐賀など、広範囲にわたって浸水・冠水する可能性があります。
海面上昇への対策(私たちにできること)
海面上昇の原因は地球温暖化によるものです。そのため、海面上昇を防ぐには、地球温暖化対策に取り組むことが重要です。海面上昇への対策として私たちができることは、以下の3つがあります。
- 地球温暖化対策に取り組む
- 再生可能エネルギーを導入する
- 海岸設備の強化
地球温暖化対策に取り組む
繰り返しになりますが、海面上昇の主な原因は地球温暖化です。そのため、地球温暖化対策に取り組めば、間接的に海面上昇への対策になります。地球温暖化対策に向けて企業ができる取り組みは、以下の通りです。
・再生可能エネルギー100%の電力を使用する ・環境に配慮した製品を開発する ・太陽光パネルの設置 ・照明のLED化 ・紙の使用量を減らす ・植林、植樹に取り組む |
また企業は、従業員や市民に向けて啓発活動を実施することも重要です。個人で対策するよりも効果が大きいため、地球温暖化対策がまだできていない場合は積極的に取り組みましょう。
再生可能エネルギーを導入する
日本は世界的に見ても、再生可能エネルギーの導入比率が低い国です。ただし、太陽光発電は世界で第3位、国土面積当たりの太陽光導入容量は最大級です。
化石燃料は、燃焼時に温室効果ガスを排出します。一方再生可能エネルギーは自然由来であるため、持続可能な生産ができ、温室効果ガスの排出量も削減できます。日本は太陽光発電に適した国であるため、太陽光発電の設置を検討してみてはいかがでしょうか。
海岸設備の強化
物理的な対策としては、海岸設備の強化があります。高潮を想定した設備や防波堤を強化しておけば、被害の軽減につながります。ただ、海面上昇における被害拡大を抑える手立てとしては有効ですが、根本的な問題は解決できません。
根本的に問題を解決するためには、やはり地球温暖化対策が重要です。上記の対策を参考にし、自社でできる取り組みに挑戦しましょう。
まとめ
海に囲まれている日本は、海面上昇と切っても切れない関係です。海面上昇が深刻化すれば、私たちの日常生活に支障を来す原因になります。そのため、個人・企業・政府が協力して対策案を講じることが重要です。
海面上昇の主な原因は「地球温暖化」です。そのため、地球温暖化対策に取り組みましょう。企業ができる対策としては「再生可能エネルギーを使用した電力に変える」「太陽光パネルを設置する」方法が効果的です。
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