カーボンニュートラルって何?背景や取り組みを簡単に解説
2010年の臨時国会で「2050年カーボンニュートラル宣言」が発表されてから、カーボンニュートラルに取り組む企業が増えています。
カーボンニュートラルという言葉をなんとなくわかっていても、具体的にどのような取り組みをすればいいかわからない人も多いのではないでしょうか。
本記事はカーボンニュートラルを実現するために企業ができる取り組みを中心に、背景や世界(日本)の様子を紹介しています。
本記事を参考に、カーボンニュートラル実現に向けて私たちができることを考えていきましょう。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルや脱炭素という言葉を耳にすることは多いと思います。どのような意味で使われているのか、なぜ注目されているのか見ていきましょう。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」です。政府は2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目標にしました。
私たちの生活において、温室効果ガスの排出量をゼロにすることはできません。そのため、植林や森林管理などにより吸収量を高め、排出量と均衡に保つことで「実質ゼロ」としました。
引用元:カーボンニュートラルとは?意味や取り組みをわかりやすく解説
温室効果ガスの中でも二酸化炭素の排出量が一番多いため、二酸化炭素の排出量を削減する取り組みがピックアップされやすいです。
また、排出量を減らすだけでなく、吸収作用の保全や強化にも力をいれなければなりません。
カーボンニュートラルが注目されている背景
地球温暖化問題に関連して耳にすることが多いのは「パリ協定」です。パリ協定は世界全体で地球温暖化を防止するために「平均気温上昇を産業革命以前に比べ、2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力する」ことを目標に掲げました。
日本においては、2010年に菅元首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表したことにより注目が集まりました。
カーボンニュートラルを実現するためには、世界全体で取り組むことが必須です。資源エネルギー庁によると、2022年10月時点で、2050年等の年限付きのカーボンニュートラル実現を表明しているのは合計で150以上の国・地域で、これらの国・地域のGDPは世界全体の約94%を占めています。
カーボンニュートラルに関する世界の様子
カーボンニュートラル実現に向けての、世界各国と日本の取り組みについて見ていきましょう。
世界各国の取り組み
パリ協定で掲げた目標を達成するために、世界各国で目標が設定されています。また、目標を達成するために取り組まれた政策をいくつか見ていきましょう。
引用元:令和4年度エネルギーに関する年次報告│資源エネルギー庁
米国
●2022年8月に気候変動対策を盛り込んだインフレ削減法が成立 ●2022年9月に産業部門の脱炭素化に向けたロードマップが策定 |
英国
●2022年4月に脱炭素社会への移行を加速する「エネルギー安全保障戦略11」を発表 ●「EVインフラ戦略」等の脱炭素に向けた計画も発表 |
ドイツ
●2022年4月にエネルギー政策関連法の改正案をまとめた「イースターパッケージ12」が閣議決定 ●気候変動対策を推進するための新たな枠組みとして「気候クラブ」が設立 |
インド
●2022年に「グリーン水素・アンモニア政策」を発表 |
引用元:令和3年度エネルギーに関する年次報告│資源エネルギー庁
日本の取り組み
日本の主な取り組みは2つです。
1つ目は「地域脱炭素ロードマップ」です。地域脱炭素ロードマップは、カーボンニュートラル実現に向けて地域に人材・技術・情報・資金などの支援をし、地方創生に貢献することを目指しています。
目標としては、
①2030年度までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」をつくる。
②全国で自家消費型太陽光、省エネ住宅、電動車などの重点対策を実施する。
となっています。
2つ目は「改正地球温暖化対策推進法」です。2050年までにカーボンニュートラルを実現させることを法律で明記しました。
これにより、脱炭素に向けた取り組みを加速させ、地域の再生可能エネルギーを活用した脱炭素化や企業による脱炭素経営を促進するのが狙いです。
またこの2つ以外にも、以下の8つの取り組みを行っています。
1.脱炭素事業への新たな出資制度 2.地球温暖化対策計画等の見直し 3.2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 4.ゼロカーボンシティの表明から実現へ 5.脱炭素経営への取組脱炭素ライフスタイルへの転換 6.サステナブルファッション 7.ゼロカーボン・ドライブ |
カーボンニュートラルを実現するために企業ができる取り組み
カーボンニュートラルを実現するために企業ができる取り組みは5つあります。
再生可能エネルギーの拡大
再生可能エネルギーは、化石燃料と比べると発電時に二酸化炭素の排出量が少ないのが特徴です。そのため、太陽光、バイオマス、風力など、化石燃料に頼らない「再生可能エネルギー」を拡大することが大切です。
たとえば、店舗やオフィス、事務所などの電力を再生可能エネルギーに変えてみましょう。または、環境に優しい自然エネルギー100%の電力会社に切り替えるのがおすすめです。
植林の推進
樹木は光合成するときに二酸化炭素を吸収します。カーボンニュートラルは吸収量を高め、排出量と均衡に保つことが目的です。そのため、植林もカーボンニュートラル実現に貢献しています。
温室効果ガスの排出量を抑えることが難しい場合は、植林などで吸収量を高めることを意識しましょう。
ゼロエミッションの推進
ゼロエミッションは、廃棄物を極限までリサイクルし、廃棄物をゼロにするシステムです。廃棄物が出るのは当たり前とした考え方では、いずれ地球の資源が枯渇し、埋め立てや処理をする場所がなくなってしまいます。
また、処理する際に発生する温室効果ガスも抑えられません。そこで、ゼロエミッションは循環型の持続可能な産業サイクルへと転換し、地球に与える負荷を軽減させるのが目的です。
廃棄物を減らすことも大切ですが、廃棄物をリサイクルする取り組みも考えてみましょう。
省エネルギーの推進
省エネルギー(省エネ)は、限りある資源を効率よく使うことを意味します。省エネとして身近な存在といえば「電気」です。
家庭からの二酸化炭素の排出量を見ると、電気が半数以上を占めています。もちろん企業も電気を見直すことが重要です。
一般家庭と違い企業が使用する電力は多いため、環境に優しい電力会社を選びましょう。
カーボンオフセット
カーボンオフセットとは、温室効果ガスの排出量を減らすように努力し、どうしても排出してしまう温室効果ガスの排出量に見合った分を、削減活動に投資することで埋め合わせるという考え方です。
埋め合わせをする削減活動としては、植林(間伐)・再生可能エネルギー(太陽光発電など)の導入、省エネ設備(ボイラーなど)の導入などがあります。
まずは、温室効果ガスの排出量を減らす努力から始めることが大切です。
まとめ
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、多くの企業が様々な取り組みをしています。まだ何も取り組みを始めていない企業は、できる範囲から検討しましょう。
いきなり廃棄物のリサイクルについて考えることは難しいですが、電力を見直すことは比較的簡単です。
環境に優しい電力会社に変えるだけでも、カーボンニュートラル実現に向けて活動していると言えるでしょう。
シナネンあかりの森プロジェクトでは、環境に優しい自然エネルギー100%を使用しています。
二酸化炭素の排出量を削減し、地球温暖化防止にも貢献していますので、ぜひこれを機にシナネンあかりのプロジェクトに参画できる電力の導入を検討してみてください。