個人向けコラム

プロパンガスと都市ガスの違いは?料金・特徴・節約方法を紹介

プロパンガスと都市ガスの違いは?料金・特徴・節約方法を紹介

私たちが日常生活で使っているガスは、プロパンガス(LPガス)と都市ガスの2種類です。料金や特徴、安全性など、それぞれの違いについて気になる人は少なくありません。

本記事では、プロパンガスと都市ガスの違いを6つに分けて詳しく紹介します。ガス代(光熱費)の節約や引っ越しのタイミングなど、どちらのガスがいいか悩んでいる人はぜひ、参考にしてください。

プロパンガスと都市ガスの6つの違いを徹底解説              

プロパンガスと都市ガスのどちらにするか悩んでいる人は、それぞれの違いを把握しましょう。

  • プロパンガスと都市ガスの違い①:ガス料金
  • プロパンガスと都市ガスの違い②:供給方法とエリア
  • プロパンガスと都市ガスの違い③:災害時の復旧
  • プロパンガスと都市ガスの違い④:火力・熱量
  • プロパンガスと都市ガスの違い⑤:重さ
  • プロパンガスと都市ガスの違い⑥:原料・成分

プロパンガスと都市ガスの違い①:ガス料金

プロパンガスは、都市ガスよりもガス代が高いと聞いたことがあるのではないでしょうか。それぞれのガス料金は以下の通りです。

プロパンガス都市ガス
1㎥あたりの料金1,016.8円168.81円
5㎥使用した場合の料金5,084円844円
基本料金1,891円759円
月額合計※6,975円1,603円

※1ヶ月のガス使用量は5㎥の場合

上記の表は、日本エネルギー経済研究所が発表したプロパンガスの平均価格(2024年11月時点)と東京ガスのガス代を比較しています。なお、どちらも東京都の場合の料金です。

プロパンガスと都市ガスを比較すると、1ヶ月で約5,000円違います。年間約60,000円もガス代が変わります。

プロパンガスは、ガスボンベを設置して使うため、人件費やガソリン代がかかります。また、昔から自由料金だったため、価格競争が起こりにくいことが原因で料金が高くなっているのです。

プロパンガスと都市ガスの違い②:供給方法とエリア

プロパンガスは、ガスボンベを配送してガスを提供します。そのため、ガスボンベが配送できる場所であれば、全国どこでも供給可能です。もちろんガス管がなくても問題ありません。

一方の都市ガスは、名前の通り人口の多い都市部を中心に展開されています。都市ガスは、地下にガス管を設置する必要があります。ガス管の設置には多額の資金が必要です。工事費を回収するためにも、契約が見込まれる都市部に展開されています。

プロパンガスと都市ガスの違い③:災害時の復旧

プロパンガスは、家庭ごとにボンベが設置され、ボンベと配管、ガス機器の安全が確認できれば、家庭単位で再開できます。また、災害への対策を兼ねて2本セットで配置されるのが一般的です。そのため、災害が起きたとしても1ヶ月程度は生活できるガスが常備されています。復旧スピードが早く、災害時に強いのが特徴です。

都市ガスは、ガス管から各家庭にガスを供給しています。地域(約2,000~3,000軒)ごとに復旧作業が行われるため、復旧スピードはプロパンガスに比べると遅いです。

ただし、大規模な災害があったときは、各ガス会社が協力し合い早期復旧を目指す体制が構築されています。また、供給エリアを細分化し、被害が拡大しないような工夫もなされています。

プロパンガスと都市ガスの違い④:火力・熱量

プロパンガスの熱量は、1㎥あたり約24,000kcalです。一方の都市ガスの熱量は、1㎥あたり約11,000kcalです。つまり簡単にいえば、同じ量の水を沸騰させる場合、プロパンガスのほうが、半分の消費量で済みます。

ただし、熱量=火力ではありません。プロパンガスのほうが熱量が高い分、2倍の速さで水が沸騰するわけではありません。火力はプロパンガスも都市ガスも同じです。

プロパンガスと都市ガスでは、熱量や原料が異なるため、それぞれに合ったガス機器を利用します。都市ガスのガスコンロのガス穴は、プロパンガスよりも多くガスが出るようになっていますので、実際の使用感は異なりません。

プロパンガスと都市ガスの違い⑤:重さ

プロパンガスは、空気より重たいため、ガスが漏れたときは床面に広がります。そのため、ガスが漏れたときは窓を開け、ほうきなどで掃きながらガスを逃がしましょう。

都市ガスは空気よりも軽いため、ガスが漏れたときは天井面に広がります。ガスが漏れたときは、窓を開けて扇風機の頭を上に向けながらガスを逃がしましょう。

ガスの警報器もプロパンガスであれば壁の下の方にあり、都市ガスであれば天井の方にあります。ガスが漏れたときの対処法が少し異なりますので、覚えておきましょう。

ちなみに本来ガスは臭いがありません。しかし、ガスが漏れたときにわかるように臭いがついています。

プロパンガスと都市ガスの違い⑥:原料・成分

プロパンガスは、プロパン・ブタンが主成分で液化石油ガスが主な原料です。都市ガスは、メタンが主成分で天然ガスが主な原料です。この成分の違いにより、重さが異なります。

ちなみにプロパンガスは、LPガスともいいます。液化石油ガスは英語で「Liquefied Petroleum Gas」ということから、LPガスといわれているのです。

プロパンガスと都市ガスの特徴

プロパンガスと都市ガスの特徴を簡単におさらいしましょう。

  • プロパンガスとは
  • 都市ガスとは

プロパンガスとは

プロパンガス(LPガス)はプロパン・ブタンを主成分にした液化石油ガスです。主にカタール、UAE、サウジアラビアから輸入しています。マイナス42℃になると液体になり、体積が気体の250分の1まで小さくなります。

ガス会社は料金設定が自由です。そのため、利用する会社によって価格が異なるため、選ぶ際に注意しましょう。

都市ガスとは

都市ガスは、メタンを主成分にした液化天然ガスです。主な輸入先はオーストラリア、カタール、マレーシアです。マイナス162℃になると液体になり、体積が気体の600分の1まで小さくなります。

2017年4月の都市ガス小売全面自由化によって、ガス会社を自由に選べるようになりました。

プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリット              

プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットをまとめました。

メリットデメリット
プロパンガス・災害に強い ・供給エリアが広い・料金が高い
都市ガス・プロパンガスよりも環境に優しい ・料金が安い・供給エリアが限られている ・災害時の復旧に時間がかかる

それぞれについて見ていきましょう。

プロパンガスと都市ガスのメリット

プロパンガスのメリットは、災害への強さです。災害時に電気とガスが使えなくなってしまうと、生活が困難になります。真冬に電気とガスが使えなければ、体に支障をきたしてしまいます。

プロパンガスであれば、ガスが常備されているため復旧スピードが早いです。地震大国の日本にとって、強い味方になるでしょう。「一般社団法人エルピーガス振興センター」によれば、東日本大震災のときに都市ガスよりも12日早く復旧しました。

都市ガスのメリットは、ガス料金の安さです。「プロパンガスと都市ガスの違い①:ガス料金」でも説明しましたが、プロパンガスよりも安いことが最大のメリットです。ガス代を抑えたい人は、都市ガス一択になるでしょう。

また、都市ガスはプロパンガスよりも燃焼時の二酸化炭素の排出が少ないです。そのため、プロパンガスよりも環境に優しいガスとなっています。社会問題である地球温暖化の解決に少しでも貢献したい人は、都市ガスを選びましょう。

プロパンガスと都市ガスのデメリット

プロパンガスのデメリットは、料金の高さです。ガス代は毎月支払うものなので、少しでも抑えたいものです。節約している人にとっては、プロパンガスのガス代が高く感じるでしょう。

都市ガスのデメリットは、供給エリアが限られていることです。住んでいる地域や物件によっては、都市ガスを利用できない場合があります。また、災害時の復旧はプロパンガスに劣ります。

いつ起きるかわからない大地震に備えておきたい人は、プロパンガスのほうがいいでしょう。

プロパンガスと都市ガスのガス代節約術 

少しでもガス代を抑えたい人におすすめのガス代節約術を紹介します。

  • ガス会社を見直す
  • 追い焚きする回数を減らす
  • 節水機能のついたシャワーヘッドに変える
  • 電子レンジで下ごしらえする
  • 調理器具や方法を意識する

それぞれについて見ていきましょう。

ガス会社を見直す

どちらのガスも、ガス会社を見直すことでガス代を安くできます。ガス会社によって料金が異なりますので、今よりも安い料金プランに乗り換えるだけです。また、電気とセットで契約すると、ガス代が3%割引になる、などのセット割もありますので、参考にしてください。

現在、プロパンガスを利用している人は、都市ガスに変えるだけで大幅にガス代を抑えることが可能です。自分の住んでいる地域で、都市ガスを契約できるか調べてみましょう。都市ガスが使えるかどうかは、「日本ガス協会」で検索できます。

追い焚きする回数を減らす

追い焚きする回数を減らすことで、ガス代を節約できます。追い焚きを減らすには、できるだけまとめてお風呂に入ったり、お風呂に入る間隔を短くしたりするといいでしょう。

また、できるだけ長湯をしない、ふたをなるべく閉めることでお湯の温度を長く保つことが可能です。一人暮らしの人であれば、湯船ではなくシャワーで済ませるとガス代・水道代の節約になります。

節水機能のついたシャワーヘッドに変える

節水機能のついたシャワーヘッドに変えることも、ガス代節約の1つです。水道代の節約にもなるのでおすすめです。水の出る量が少なくなったからといって、ずっと水を流しっぱなしにしてはいけません。返ってガス代が高くなる可能性があります。

節水機能のついたシャワーヘッドに変えても、使う時間を長くしないことがポイントです。

電子レンジで下ごしらえする

野菜などを下ごしらえするときに、電子レンジを使うとガス代の節約になります。例えばカレーを作るときは、先にじゃがいもやにんじんを電子レンジで加熱しておくと、煮込む時間を短縮できます。

また、具材をゆでるときは少し小さめに切っておくと、火が通りやすくなりゆで時間を抑えることが可能です。

調理器具や方法を意識する

圧力なべや炊飯器、中華鍋など調理器具は数多くあります。料理に応じて調理器具を変えることもガス代節約の1つです。料理時に少し意識するだけでガス代の節約になります。例えば、やかんやフライパンは濡れたまま温めない、鍋底に合った火加減に調整する、まとめて調理するなどです。

また、上記でも述べたように電子レンジで下ごしらえするなど、調理方法を変えることも大切です。

光熱費を抑えるなら電気代の節約が重要 

光熱費を抑えたい人は、ガス代よりも電気代を節約することが重要です。

電気代ガス代水道代その他光熱費(合計)
2023年12,2655,2095,1061,27523,855
2022年12,6785,2325,2071,40424,522
2021年10,3174,6485,4121,15321,530
2020年10,6714,7295,2551,18121,836
2019年10,8254,8525,0441,22921,951

参考元:政府統計ポータルサイト(e-Stat)

上記の表は二人世帯以上の光熱費の全国平均です。光熱費の約半分を電気代が占めています。そのため、電気代をいかに抑えるかで光熱費が変わります。

なお、光熱費の節約方法については、こちら「光熱費の節約術12選!今から誰でも簡単にできる方法を解説 | 電気や環境問題のことならシナネンあかりの森メディア」で詳しく紹介していますので、参考にしてください。

まとめ

プロパンガスと都市ガスの違いを6つの項目で比較しました。簡単にまとめると、プロパンガスは災害に強く、供給エリアが広いですが、料金が高いです。

都市ガスは、料金が安く環境に優しいですが、供給エリアが限られています。それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、どちらにするかを考えましょう。

光熱費を抑えたい人は、電力会社を見直すことをおすすめします。自分に合った料金プランに変えることで、電気代をグッと節約できます。電力会社を見直す際は、シナネンあかりの森でんきをチェックしてください。