RE100とは?RE100技術要件の改定内容は?再エネ100宣⾔ RE Actionとは?わかりやすく解説!
1. RE100概要
RE100とは?
RE100の正式名称は「Renewable Energy 100%」で、企業が自らの事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブです。
RE100が注目される背景
2023年11月30日から12月13日に開催されたCOP28(「国連気候変動枠組条約締約国会議」の28回目の会議)では、締約国198カ国などが参加し、日本からは岸田首相をはじめ、各省庁の官僚・関係者が多く出席しました。
COP28では、2015年のCOP21で採択された「パリ協定」の目標※達成に着実に向かうための仕組みについて焦点が当てられ、気候変動対策はより強化されています。
※世界共通の長期目標が掲げられ、具体的には目標として平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃以内、努力目標と1.5℃以内に抑えることなどが挙げられます。
このように世界全体で気候変動対策の取り組みが重視されています。
また、株主やファンドはESG投資を重視する動きを加速させています。
ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉で、投資先の価値を測る重要な材料です。特にグローバルに事業を行う大企業に対しては、これらの観点において高い評価を得ることが求められる傾向にあり、各社が対策を急いでいます。
2. RE100加盟企業
RE100加盟企業の例
では具体的にどのような企業がRE100に加盟しているのでしょうか。加盟企業の例を見てみましょう。
〈世界のRE100加盟企業〉
Google、Apple、Meta、CHANEL、Johnson&Johnson、Starbucks、Accentureなど342社
〈日本のRE100加盟企業〉
第一三共、日清食品、大和ハウス工業、CASIO、花王、楽天、富士通など86社
※2024年3月11日時点
RE100加盟企業数の推移
加盟社数はどのくらい増えているのでしょうか。加盟社数はRE100が設立された2014年から現在まで増加し続けており、2023年までに425社が参加しています。
出所:RE100ホームページ「RE100 Members」(2024年3月11日時点)より弊社にて作成
RE100加盟企業の内訳
ではRE100の加盟するのはどんな属性の企業が多いのでしょうか。国別と産業別で見てみましょう。
国別RE100加盟企業数
2023年3月7日現在、国別参加企業数では、日本はアメリカの98社に次ぐ86社が参加しています。
出所:RE100ホームページ「RE100 Members」 (2024年3月11日時点)より弊社にて作成
産業別RE100加盟企業数
2023年3月7日現在、産業別では、Googleなどを含むサービス業が149社と最も多く、次いでAppleなどを含む製造業が109社となっています。この2産業が全体の約60%を占めています。
出所:RE100ホームページ「RE100 Members」 (2024年3月11日時点)より弊社にて作成
3. RE100加盟のメリットと条件
RE100加盟のメリット
RE100に加盟するとどのようなメリットがあるのでしょうか。環境省の資料によると、企業にとっての直接・間接的メリットの双方を含め、下記4点が挙げられます。
〈メリット〉
- 再エネへの切り替えにより、化⽯燃料によるリスクを回避し、気候変動を防ぐ。
- 企業が再エネ調達の必要性を発信することで、再エネの市場規模が拡⼤する。また、調達選択肢の増加や、価格低下につながることで、安価で安定した再エネ供給を受けられるようになる。
- 再エネを取り入れた事業運営は対外的に評価され、投資家からのESG投資の呼び込みに役⽴つ。
- 再エネ100%調達をコミットすることは、世界的な対外アピールになる。また、世界中の企業と情報交換できる他、新たな供給側企業と出会える可能性もある。
出典:環境省ホームページ「RE100について」
RE100加盟の条件
このようにRE100への加盟は企業にとって直接的にも間接的にもメリットがありますが、加盟には条件が設けられています。これらの条件は絶対的なものではなく、条件に合わない場合でも加盟が認められることもあります。
〈条件の例〉
- 年間消費電⼒量が100GWh以上である企業
- ⽬標年を宣⾔し、事業全体を通じた100%再エネ化にコミットする(遅くとも2050年までに、100%再エネ化を達成する)、もしくは既に100%再エネ化を達成していること
- 進捗報告を毎年行うこと
出典:環境省ホームページ「RE100について」
また、RE100にはGoldとStandardの2つの会員クラスがあり、Goldは年会費$15,000、Standardは年会費$5,000が必要です。Gold会員には、イベント登壇機会などの特典があります。
RE100は事業規模が大きく、グローバル規模で影響力を持つ企業をメインターゲットとしており、加盟の条件に合致しない企業が殆どです。環境省はそのような日本国内の企業に対し、「再エネ100宣⾔ RE Action」という⽇本独⾃の取り組みへの参加を推奨しています。
再エネ100宣⾔ RE Actionについて
再エネ100宣⾔ RE Actionとは、RE100と同じく再エネ100%を⽬指すイニシアティブです。再エネ100宣⾔ RE Actionでの再エネの定義は、RE100の基準に準じることとされていますので、同等レベルの再エネ調達が求められます。
両者の違いは、対象とする企業などにあります。RE100の対象企業は再エネ100宣⾔ RE Actionの対象外とされています。また、再エネ100宣⾔ RE Actionは、企業に限らず、自治体、教育機関、医療機関等も対象としています。
再エネ100宣⾔ RE Actionの年会費は、団体区分別、従業員数によって25,000〜200,000円と、RE100よりは負担が小さくなるように設定されています。
再エネ100宣⾔ RE Actionの年会費は、団体区分別、従業員数によって25,000〜200,000円と、RE100よりは負担が小さくなるように設定されています。
※2024年3月11日現在
4. RE100技術要件の改定と改定後の再エネ調達
技術要件の改定と15年ルール
RE100は、加盟企業が調達する再エネ電力について規定する「技術要件(Technical Criteria)」を2022年10月24日に改定しました。
2024年1月以降に調達する電力については、改定後の要件を適用することが求められます。
改定で最も注目されているのが、15年ルールや追加性要件と呼ばれる点です。
まずRE100に適合する再エネ調達方法は、日本では下記4つがあります。
①再エネの自家発電
②再エネ発電事業者との直接契約
③再エネ発電事業者との直接契約
④再エネ証書のみの調達
上記4つの調達方法に対し、①の再エネの自家発電以外の調達方法には、運転開始日またはリパワリング日から15年以内の電源であるという要件(以下「15年ルール」という)が課せられます。15年ルールの例外として、下記4点などが挙げられます。
Ⅰ. 再エネの自家発電
Ⅱ. 系統接続のない自営線による再エネの直接調達
Ⅲ. 15年以上経過案件であっても、長期契約のプロジェクトとして当初から参画している案件
Ⅳ. 2024年1月以前に締結した契約
尚、年間の電力使用量のうち15%までは、15年ルールを満たさない再エネ電力や証書の使用が認められます。
出典:資源エネルギー庁「高度化法の中間目標について」2022年10月31日
15年ルールに適合する再エネ電力調達
先述のとおり、RE100に適合する再エネ調達方法は、日本では下記4つがあります。
①再エネの自家発電
②再エネ発電事業者との直接契約
③電力供給者との契約による調達
④再エネ証書のみの調達
①再エネの自家発電については、現在のところ15年ルールの対象外とされていますので、確実な方法といえます。但し、課題点として、初期投資や自社に再エネ発電設備を設置するスペースが必要になること、また、自社で再エネ発電設備を所有しますので、維持管理をする手間やコストがかかることが挙げられます。
②再エネ発電事業者との直接契約については、新設の再エネ発電設備であれば15年ルールに適合し、また、15年以上経過しても長期契約のプロジェクトとして当初から参画しているのであれば、15年ルールの適用外となります。
②の具体例としてPPAが挙げられます。PPAであれば初期投資は不要となるケースが多いです。また、オフサイト型のPPAであれば、自社に再エネ発電設備を設置する必要はありません。
③電力供給者との契約による調達については、15年ルールへの適合について個別によく確認することが必要となります。③は具体的には電力会社の提供する再エネメニューがあります。
15年ルールに適合しない例として、大手電力会社が提供する15年以上前に運転開始した大型水力発電由来の電気を供給するプランが挙げられます。
非化石証書を充てている再エネメニューであれば、その非化石証書がトラッキング付きで、且つ、運転開始から15年が経過していない発電設備に紐づける必要があります。
④再エネ証書のみの調達については、③と同様に確認が必要です。日本国内では非化石証書、グリーン電力証書、J-クレジットが対象になります。
グリーン電力証書とJ-クレジットは運転開始日の情報が公開されていないこともあり、要件に適合しない可能性がありますので、特に注意する必要があります。
RE100加盟企業の現時点での再エネ調達方法
ではRE100に加盟している企業は、現在どのように再エネ調達をしているのでしょうか。
2023年の年次レポートによると、2022年のRE100加盟企業の再エネ調達方法のうち、最も割合が多い方法は証書の購入で、全体の41%を占めています。次いでPPAが31%、3番目に電力供給者との契約で24%となっています。自家消費は2%となっています。
出所:RE100ホームページ「RE100 2023 Annual Disclosure Report」より弊社にて作成
技術要件が改定される前の2022年の結果ですので、比較的手軽にできる④再エネ証書のみの調達、③電力供給者との契約による調達の割合が多くなっています。技術要件の改定により、今後調達方法を変える加盟企業が増えることが予想されます。
5. まとめ
技術要件の改定を含むRE100や、再エネの定義をRE100の基準に準じるとする再エネ100宣⾔ RE Action(但し、15年ルールを含む今回の改定の適用時期は、2024年3月11日現在で未定としています。)への参加を考えると、数ある再エネ調達方法の中で要件に適合する方法を選んで採用することが必要です。
シナネンでんきでは、トラッキング付き非化石証書を使用した再エネメニューである環境配慮メニューをご用意しています。環境配慮メニューには、実質再エネ比率メニューと排出係数メニューの2種類があります。実質再エネ比率メニューでは再エネ比率を4段階から、排出係数メニューでは排出係数を3段階からお選びいただけますので、お客様のご要望やご予算に合わせることが可能です。
また、今後の技術要件強化の可能性などに備え、より高度な再エネ調達をしたいとお考えの場合には、シナネンのオフサイトコーポレートPPAがオススメです。貴社に合わせたご提案をいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
【お問い合せ先】
シナネン株式会社 環境エネルギー事業本部 電力ソリューションチーム
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