法人向けコラム

【7つの環境問題の原因】解決のために個人・企業ができる取り組みとは

【7つの環境問題の原因】解決のために個人・企業ができる取り組みとは

私たちは環境問題と切っても切れない関係性で成り立っています。環境問題を他人事のように扱うのではなく、個人でも企業でも何か取り組めることがないか、関心を持つことが大切です。

そのためにも、まずは現在、問題となっている7つの環境問題を知り、私たちができることがないか考えましょう。また環境問題を解決するために、世界で行われているユニークな事例も紹介しているので参考にしてください。

環境問題とは

環境問題とは、私たちの活動により地球環境に変化・破壊が生じ、人間の健康や生態系に悪影響を及ぼす問題のことを言います。世界的にも注目されている環境問題は、全人類が取り組むべき課題と言えるでしょう。

環境問題の背景

世界的な環境問題のきっかけは、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命です。産業革命は、経済を発展させる重要な変革でしたが、化石燃料を大量に消費することにより大気や水質に多大なる悪影響を及ぼしました。

日本の環境問題の始まりは、明治以降の工業復興期がきっかけです。公害問題の深刻化は日本だけでなく、全世界で懸念されるようになり、1972年にスウェーデンのストックホルムで人間環境問題を議論する「国連人間環境会議(ストックホルム会議)」が開催されました。

この会議の成果は、環境に対する理念・原則の明文化とUNEP(国連の環境保護組織)の創立の2つです。

UNEPの創立を機に、10年後には国連環境計画管理理事会特別会合(ナイロビ会議)の開催、さらに10年後には地球サミットが開催されるなど、年々環境に対する意識度が高くなっています。

日本の環境問題の出来事

日本の環境問題は19世紀後半に発生した「足尾鉱毒事件」がきっかけです。時系列とともに環境問題の出来事を見ていきましょう。

できごと
1891年足尾銅山鉱毒問題の国会提起
1911年日立鉱山亜硫酸ガス被害
1932年大阪で煤煙防止規則が制定(日本初の発令)
1955年イタイイタイ病(富山県)が社会問題化
1956年水俣病の発生を公式に発表
1961年四日市市にぜんそく患者が多発
1964年新潟県阿賀野川流域に水銀中毒患者を発見、厚生省に公害課が設立
1967年公害対策基本法が制定
1971年環境庁が設立
1972年環境庁が初の『環境白書』を発行、国連人間環境会議が開催
1980年ラムサール条約とワシントン条約に日本が加盟
1990年地球温暖化防止行動計画が決定
1997年地球温暖化防止京都会議(COP3)にて京都議定書が採択
2020年2050年までに脱炭素社会(カーボンニュートラル)を目指すことを宣言
引用元:独立行政法人環境再生保全機構

7つの環境問題と原因

現在、世界で注目されている環境問題は7つあります。外務省が地球規模の課題として挙げている7つの環境問題の概要と原因を把握しましょう。

海洋環境保全

海洋環境保全とは、その名の通り海の環境を守る取り組みです。現在、問題視されているのは海洋プラスチックごみによる海洋汚染です。海洋プラスチックごみは、人間が廃棄したプラスチック製のごみを言います。

環境省が発表した「海洋ごみ調査」によると、海洋プラスチックごみの約8割は陸域からの流入とされています。つまり不法投棄や意図しないごみの散乱など、私たちの行動によって海洋プラスチックごみが発生しているのです。

海洋プラスチックごみは、分解されにくいため長期に渡り生態系に悪影響を与えます。漁網の断片がアザラシの首に絡まったり、クラゲと間違えてポリ袋を食べたカメが死んでしまったりすることが事例です。

また海洋プラスチックごみは、太陽の紫外線などによって次第に分解され5mm以下の微細なマイクロプラスチックに変化します。このマイクロプラスチックは、海洋生物に影響を与えるだけでなく人体にも影響を与える可能性が高く危険です。

私たちが捨てたゴミによって海洋生物だけでなく、私たちにも影響を与える可能性が高いため、海洋環境保全は注目されている環境問題でもあります。

化学物質・有害廃棄物の越境移動

1970年代ごろには、欧米諸国を中心に化学物質・有害廃棄物などを、他国に放置する行為が行われてきました。その結果、放置された国の環境汚染が深刻化するだけでなく、どの国が放置したのか出所がわからないという問題が生じてしまったのです。

こうした廃棄物を受け入れることで、経済的な利益を得ることができるため、発展途上国を中心に越境移動が行われることがありました。しかし、このままでは有害物質の回収や抑制が行われることはなく、排出が進み、環境汚染が悪化していくばかりで危険です。

こうした背景を経て、1989年、スイスのバーゼルにおいて「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」が作成されました。日本がバーゼル条約に加入したのは1993年です。

約2年に1度、締約国会議が開催されバーゼル条約の規制を追加・更新しており、2019年には「汚れたプラスチックごみ」が新たに規制対象として加えられました。

オゾン層の保護

オゾン層は地球上空を取り巻き、紫外線を吸収する役割を果たしています。オゾン層は生成と消滅を繰り返しながら適度な濃度を維持していますが、近年ではオゾン層の破壊が懸念されています。

オゾン層が破壊される原因は、電子部品の洗浄やスプレー、エアコンや冷蔵庫の温度を下げる機能に使用されているフロン、ハロン、臭化メチルなどです。

これらの物質は分解されにくい性質を持っているため、対流圏では分解されずさらに上空の成層圏に達するまで分解されません。

成層圏に達し、太陽からの強い紫外線によって初めて分解されるのですが、このときに塩素原子を共に放出するためオゾン層が破壊されてしまいます。

オゾン層が破壊されると有害な紫外線が増えてしまうため、1985年にオゾン層を保護するために「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が作成されました。さらに2年後に制定されたのが「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」です。

オゾン層の破壊とともに話題に出てくるのが地球温暖化です。オゾン層の破壊と地球温暖化は直接的な関係は少ないものの、どちらも深刻な環境問題であるため改善を余儀なくされています。

生物多様性

私たち人類は、地球上にいるさまざまな生物とともに生活し共存しています。しかし近年では、私たちの手によって生物多様性が失われつつあります。生物多様性が減少してしまうと、生態系が破壊され、私たちの生活にも支障をきたす可能性が高いです。

環境省の調べによれば、人間活動による要因で自然状態の約100~1,000倍のスピードで、地球上の種が絶滅の危機に瀕しています。日本の生物多様性は以下の4つの危機にさらされています。

第1の危機【開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少】
乱獲や過剰な採取、埋め立てなどの開発により生育環境や生態系を悪化。  

第2の危機【里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下】
高齢化社会により担い手不足が原因で、二次林や採草地の活用が減り、生態系のバランスが悪化。里地里山の動植物が絶滅の危機。 

第3の危機【外来種などの持ち込みによる生態系のかく乱】
外来種が繁殖し、在来種の生息地を奪ったり、捕食したりすることで生態系がかく乱。

第4の危機【地球環境の変化による危機】
地球温暖化により平均気温が1.5~2.5度上がるだけで、動植物の20~30%は絶滅のリスクが高まる。

引用元:生物多様性に迫る危機|環境省

この危機的状況を打開するために世界では、「水鳥の生息地である湿地を守るラムサール条約」や「絶滅のおそれのある特定種の動物の取引に関するワシントン条約」などが制定されています。

野生動植物

前述の生物多様性と似ていますが、野生動植物の絶滅に関する条例としては「ワシントン条約」や「ラムサール条約」などがあります。

ワシントン条約の目的は、「野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかること」です。

世界的な条約としてはワシントン条約が有名ですが、日本では、絶滅のおそれのある野生動植物の種を保存するために、法律(種の保存法)が定められています。

令和5年1月現在では442種類が国内希少野生動植物種に指定されており、よく知られている動植物としては以下のようなものです。

コウノトリ、トキ、ハヤブサ、イリオモテヤマネコ、アユモドキ、ゲンゴロウ、タガメ、ニホンザリガニなど

引用元:国内希少野生動植物種一覧|環境省

森林破壊・砂漠化

森林破壊・砂漠化も環境問題の1つです。森林破壊の要因としては、20世紀前半に熱帯・亜熱帯地域の開発途上国において人口が増加したことです。急激な人口増加によって貧困や飢餓といった問題が増え、これらの対策として森林が伐採されました。

1990年に41.28億haあった世界の森林面積は、2015年には39.99億haまで減少し、この25年間に減少した森林面積の大きさは、南アフリカの国土面積と同じくらいです。

森林破壊は、森林伐採だけではなく森林火災も要因の1つです。日本でも毎年1,000~2,000件程度の森林火災は起こりますが、海外の森林火災は規模が異なります。

例えば、2019年に発生したオーストラリアの森林火災では9月から年末にかけて燃え続け、オーストラリア史上最悪の森林火災となりました。

またアマゾンの熱帯雨林地域では、2019年8月1日から8月24日の間に約4,000件近く森林火災が発生するなど、森林火災も見過ごせない環境問題です。

世界中の森林が減ることで砂漠化も広がっていきます。森林伐採を繰り返すたびに、木々が減少し地中の保水力が損なわれます。これにより発生するのが、雨水が土を流してしまう「水食」です。

水食によって土の保水力が低下し、やがて岩肌が露出するほど土が減少してしまい、植物が生えない砂漠へと変わってしまいます。

酸性雨

酸性雨は通常の雨や雪に比べて酸性が10倍ほど強い雨のことです。酸が強いので生態系に悪影響を与えるだけでなく、建物を錆びさせたり、溶かしたりするなど世界中で被害が出ています。

酸性雨の原因は、自動車や工場から排出されるガスです。これらのガスには、窒素酸化物や硫黄酸化物が含まれており、大気中で硝酸や硫酸に変化し、酸性雨の原因となります。これらは、私たち人間が原因です。

一方、自然が原因で酸性雨となるのは火山ガスによるものです。火山ガスにも硫黄化合物や二酸化硫黄が含まれているため、大気中で酸化してしまいます。

環境問題解決に向けて私たちができる取り組み

環境問題は私たち全人類の課題です。環境問題解決に向けて私たちができることは多くあります。具体的にはどのような取り組みを行えばいいのか見ていきましょう。

環境問題解決に向けて企業ができる取り組み

企業が環境問題解決に向けて取り組むことで、「CSRを果たしやすい」「サステナビリティを実現しやすい」「企業のイメージアップにつながる」などのメリットがあります。具体的にどのような取り組みをすべきか、実際に企業が行っている例を参考に見ていきましょう。

・ユニクロ

不要になった衣類を店舗で回収し、リユース品として世界各地の被災地や難民キャンプに届けています。処分すれば二酸化炭素の排出量を増やすことになりますが、衣類を提供することで現地にもユニクロにも得がある環境保護活動が実現するのです。

・ソニー

ソニーは「Blue Ocaen Project」と呼ばれる海洋保全活動を行っています。主に海洋プラスチックごみを削減する取り組みを行っており、レジ袋の提供を廃止したり、従業員が海岸でゴミ拾いをしたりするなど、プラスチックごみを出さない取り組みです。

・ニトリ

ニトリでは、環境に優しい原料から製品を開発する取り組みや店舗の省エネ化など、さまざまな環境保全活動を行っています。例えば、ペットボトルを原料としたオリジナルランドセルや電気自動車充電設備の導入などです。   幅広く取り組んでおり、積極的に環境問題を改善しようという心意気が見受けられます。

企業が環境問題解決のために行えることはさまざまです。個人で行うよりも影響力が大きいため、小さな取り組みからでもいいので積極的に行いましょう。

環境問題解決に向けて個人でできる取り組み

環境問題を解決するためには、私たちひとりひとりの取り組みが大切です。環境問題について調べるだけでも十分ですが、具体的に何をすればいいのか見ていきましょう。

私たちにできること何をすべきか
省エネ・こまめに電気を消す
環境に優しい電力会社に乗り換える
・省エネの電気機器を使用する
・エコドライブを心がける
ごみを出さない・衣類や日用品を再利用(フリマに出すなど)する
・モノを大切に扱い長く使用する
・ごみの分別を徹底しリサイクルする
・ごみ拾い活動に参加する
買い物時に意識する・認証マーク付きの商品を購入する(MSC認証など)
・プラスチック包装の商品を選ばない
・見切り品も検討してごみを出させない
・使い切れる量の商品を買う(特に生もの)
日常生活から意識する・歩きや自転車でなるべく移動する
・汚れた食器はふき取ってから洗う
・洗剤やシャンプーは適量を使用する
・マイバック、マイボトルを持ち歩く

世界のユニークな環境問題への取り組み

環境問題への取り組みは世界各国で行われていますが、その中でもユニークな取り組みを紹介します。

・食べられる包装材「Ooho!」

「Ooho!」は、イギリスに本社を置くNotpla社が開発した食べられる包装材です。100%海藻から作られているため食べることができます。食べずに捨てたとしても数週間で自然に分解されるため、海洋プラスチックごみの改善に役立ちます。

・食べられるレジ袋「Avani」

インドネシアのAvani社が、キャッサバを基に食べられるレジ袋を開発しました。このレジ袋は、「人や動物が食べても無害」「3カ月程度で分解される」「80度以上で溶ける」といった特徴があり、環境に優しい製品です。

・中身が見えるゴミ袋「Goedzakken」

オランダの「WAARMAKERS」がデザインしたゴミ袋はあえて中身が見えるようになっています。そのため、中に欲しいものがあれば自由に持って帰ることができ、ゴミを削減する効果があります。

これらのようなユニークな取り組みは、注目を得ることが多く環境問題の解決にはうってつけです。企業のイメージアップにもつながるためこれらの例を参考にしつつ、画期的な取り組みに挑戦してみてはいかがでしょうか。

環境問題とSDGsの関係性とは

SDGsは2015年9月に国連サミットで採択された国際目標です。貧困や人権など世界中で注目されている課題が含まれていますが、SDGsは環境問題の解決が重要であると考えています。SDGsの17の目標のうち13は環境問題と関係しているため、一つずつ簡単に紹介します。

目標番号目標名関連性
2飢餓をゼロに食料安全保障
3すべての人に健康と福祉を大気汚染や水質汚染は健康被害の原因
4質の高い教育をみんなに環境問題を子どもたちに学ばせる
6安全な水とトイレを世界中に水質汚染や海洋汚染につながる
7エネルギーをみんなに そしてクリーンに地球にやさしいエネルギーを使うことで環境問題を改善できる
8働きがいも 経済成長も経済活動を優先する発展途上国では環境問題が深刻化している
9産業と技術革新の 基盤をつくろう環境に配慮した技術や産業を導入する
11住み続けられるまちづくりを緑地化や気候変動の緩和に対する備え
12つくる責任 つかう責任一人ひとりが意識を高めること
13気候変動に具体的な対策を気候変動を抑える対策に取り組む
14海の豊かさを守ろう海洋汚染を防ぐ
15陸の豊かさも守ろう森林破壊や砂漠化の抑制
17パートナーシップで 目標を達成しようこれらの目標達成をめざそう

まとめ

環境問題が深刻化している現代において、私たちひとり一人の取り組みが環境問題解決への一歩へと変わります。海岸へ行きゴミを拾う、モノを大切に扱いごみを出さない、といったことは私たちにもできることです。

もちろんエコな電気に切り替えることも、環境問題解決に向けて私たちができる取り組みです。

「シナネンあかりの森プロジェクト」では、環境にやさしい自然エネルギー100%を利用することで地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減しながら積極的に自然を守る活動を行っています。

またSDGsの目標7・13・15の達成を目指してきましたが、2023年度からはSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の達成も目指し、森林だけでなく海洋・生態系の保全への取り組みも積極的に行っています。 環境配慮メニューにご加入していただきますと、より積極的な環境貢献・保護活動に取り組むことが可能です。環境に優しい電気について興味がある方は、「シナネンでんき」をご覧ください。