森林破壊の現状は?日本と世界の対策を比較し私たちができることを考えよう | 電気や環境問題のことならシナネンあかりの森メディア

法人向けコラム

森林破壊の現状は?日本と世界の対策を比較し私たちができることを考えよう

森林破壊の現状は?日本と世界の対策を比較し私たちができることを考えよう

森林は地球温暖化の防止や生態系の保全に欠かせない存在です。そんな森林が現在、危機に瀕しています。
世界では毎日驚くべきスピードで森林破壊が進んでいます。一度失われた森林を元の状態に戻すには長い年月が必要であり、簡単なことではありません。
そのため、森林破壊の現状を知り、わたしたちにできることを考えましょう。

世界中で進む森林破壊の現状とは

森林破壊とは、人間活動(伐採など)や火災、干ばつなどにより、自然回復では追いつけないほど森林が減少・消失することです。

世界中でこの森林破壊が進行していますが、現在の状況はどうなっているのか見ていきましょう。

日本の森林破壊の現状

日本は国土面積の3分の2に当たる約2,500万haが森林面積です。世界でも有数の森林国でありますが、世界で起こっている問題とは異なる問題を抱えています。

人工林、天然林別の森林面積の状況

引用元:森林面積・蓄積の推移 林野庁

日本は昭和41年から令和4年まで人工林、天然林の森林面積は多少の減少はありますが、大きな変動がありません。つまり日本では森林破壊が起きていないように見えます。

だからといって何も問題がないわけではなく、実は日本が現状抱えている問題は「森林蓄積量の増加」なのです。

人工林、天然林別の森林蓄積の状況

引用元:森林面積・蓄積の推移 林野庁

日本の森林面積は変わっていませんが、森林資源のみが増えている、つまり放置されている森林が増えているというのが日本の現状です。

放置された森林が増えると、このような問題が発生します。

1.木材の価値が低下
森林が放置され木が生い茂っていると、1本あたりに当たる太陽の光の量が減るので成長が悪く、やせ細った木になってしまう。  

2.土砂災害が発生しやすくなる
太陽の光が地表に到達しないため、草木が生えず、野生生物が住みつかなくなり、地表がむき出しになるので土砂災害の発生が高くなる。

世界の森林破壊の現状

国際連合食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価2020」の調査結果によると、世界の森林面積は2010年から2020年の間に年平均470万ha減少しています。

なお、1990年から2000年の間は年平均780万haで減少しているため、森林が減少する速度は低下傾向にあると言われています。

2023年の森林破壊で思い出されるのは、カナダの大規模森林火災です。カナダでは例年森林火災が多発するシーズンがありますが、2023年は「史上最悪のシーズン」と言われています。

カナダ森林火災センターによれば、2023年1月から7月までで、950万ha(北海道は834万ha)もの森林が火災によって消失しました。

世界で起こっている森林破壊は、森林火災だけでなく大規模な開拓、伐採、インフラなども原因の1つです。

森林減少と森林劣化の原因

引用元:森林破壊の原因って?森林破壊を止めるために、今日からできること|WWFジャパン

森林破壊に対する対策

それでは、世界の森林を守るために、日本や世界はどのような取り組みを行っているのか見ていきましょう。

日本の森林破壊に対する取り組み

前述のとおり、日本は森林破壊ではなく森林蓄積量の増加が懸念されています。そのため、国内の森林を使用する取り組みが行われています。

日本が具体的に行っている、森林破壊に対する主な取り組みには以下のようなものがあります。

・木づかい運動

木づかい運動とは、暮らしの中に木材製品を取り入れ触れ合ってもらうことで、木材への親しみや理解を深めてもらい、木材の良さや利用の意義を知ってもらう活動です。

令和3年6月に、10月を「木材利用促進月間」と法定化し、イベントなど全国で取り組みを行っています。

・間伐材マーク

全国森林組合連合会では、間伐材を使用した製品に「間伐材マーク」を付けることで、間伐材利用や重要性を促進する活動を行っています。

・バイオマスの活用の推進

バイオマスとは、簡単に言えば動植物によって生まれた資源のことです。ちなみに木材を使用したバイオマスを「木質バイオマス」と呼んでいます。

このバイオマスをエネルギーや製品に活用することで、日本や世界が抱えている問題(地球温暖化・森林破壊など)の解決に貢献できます。

また近年では、木を燃やしても二酸化炭素の増加に影響しない「カーボンニュートラル」の注目度が高いです。

・国内木材も輸出を促進

木材輸出額(国別)

引用元:木材輸出の状況 林野庁

政府は日本木材の輸出を促進しています。

上記のグラフを見ると、2013年の木材輸出額123億円に対し、2022年の木材輸出額は527億円と約4倍まで増加しています。

今後も国内木材の輸出額を増やす取り組みを行っていく予定です。


世界の森林破壊に対する取り組み

森林破壊が問題視されてから現在に至るまで、何度も森林に関する国際的会合が行われています。

年号出来事内容
1992年森林原則声明森林の保全や持続的な開発・経営を世界各国が協力して行えるように15項目を設定
1993年モントリオール・プロセス持続可能な森林経営のための「基準・指標」の作成と適応を進めるための取り組み
1995年森林政府間パネル(IPF)の設立森林問題に対して世界各国の取り組みを評価、森林の保全・管理・持続的な開発の推進
1997年森林政府間フォーラム(IFF)採択森林政府間パネル(IPF)で提案された取り組みを推進し、未達成な項目を検討する
2000年国連森林フォーラム(UNFF)設立国際条約の検討や持続的な森林経営に対する取り組みの検討など
2022年第15回世界林業会議持続可能な開発目標(SDGs)の向上やゴールを達成するために重要な解決策を決める会議

上記以外にも国際的会合が行われ、世界の森林破壊に対する取り組みが行われています。

森林破壊を防止するために私たちができること

森林破壊を防止するために私たちができることには、どんなことがあるでしょうか。

企業ができること

森林破壊を防止するために企業ができることとして、2つの例をあげます。

1つ目は、積極的に植林を行うことです。世界の森林は年を追うごとに森林面積が減っているため、積極的に植林し森林面積を増やす取り組みを行いましょう。

味の素やトヨタ紡織グループ、株式会社フェリシモなどは植林に対する取り組みを積極的に行っています。

2つ目は、地球温暖化を防止する取り組みを行うことです。森林破壊は地球温暖化や気候変動と関係性が深いため、これらを対策することで森林破壊を防止することができます。

地球温暖化や気候変動を防止するためには、節電・省エネ・温室効果ガスの排出量を減らす・再生可能エネルギーを利用する、といった取り組みを行うことです。

たとえば、株式会社ダスキンは省エネ設備の導入や太陽光発電の設置、イオンモール株式会社は運営しているモールで使用する電力を再利用可能なエネルギーに転換する取組を行っています。


個人ができること

森林破壊を防止するために個人でできることとして4つの例をあげます。

①森林破壊対策(地球温暖化防止対策)を行っている企業に貢献する

森林破壊や地球温暖化の防止活動を行っている企業に貢献することで、間接的に私たちも森林破壊の防止に貢献することができます。

②紙製品・木材製品の無駄遣いを減らす

トイレットペーパーやティッシュペーパー、ノートなど紙・木材製品の無駄遣いは、大切な森林の資源を無駄にしてしまいます。

③FSC認証マークがついた商品を選ぶ

FSC(森林管理協議会)は、持続可能な森林管理を世界に広めることを目的に設立された国際的非営利団体です。

その団体が認めた「FSC認証マーク」のついた商品を選ぶことで、違法伐採などでつくられた製品を購入しないことにつながります。

④国産の木材を選ぶ

日本は輸入木材に頼っており、国内木材の消費が著しくありません。そのため森林蓄積量を減らすためにも国産木材を選ぶと良いでしょう。

まとめ

森林破壊を防止するためには私たちができることは多くあります。森林破壊を防止する取り組みといっても何をすればいいのかイメージがわかない場合は、まずは地球温暖化の防止に取り組んでみてはいかがでしょうか。

簡単にできることとしては、電力プランの見直しという方法があります。私たちシナネンは「シナネンあかりの森プロジェクト」を立ち上げ、環境保全活動を行っています。

自然エネルギー100%の電気を使用し、二酸化炭素の削減を行っているため地球温暖化の防止、つまり森林破壊の防止や海洋保全に積極的に取り組んでいます。

地球にやさしい電気の利用をお考えの方は、ぜひ検討してください。