プラスチックごみ問題とは?影響や現状を知って私たちができることは?
私たちの生活に欠かせないプラスチックですが、大量に捨てられるプラスチックごみが世界中で問題になっていることを知っていますか? 不法投棄されるプラスチックは、環境や生物、そして私たちにも悪影響を及ぼします。
本記事では、プラスチックごみの影響や現状、解決に向けての取り組みなどを紹介します。私たちできることは何か、考えましょう。
プラスチックごみ問題とは?
プラスチックごみ問題とは何か、以下の3つについて解説します。
- プラスチックごみ問題とは
- プラスチックごみ問題が注目されるようになったのは?
- プラスチックごみ問題の原因
プラスチックごみ問題とは
プラスチックごみ問題とは、自然に分解されないプラスチックが原因で引き起こされるさまざまな問題を指します。例えば以下のような問題です。
- プラスチックがごみとして燃やされるときに発生する温室効果ガスが、地球温暖化の原因となる
- プラスチックの原料である石油は有限であり、プラスチックの製造により資源が枯渇する
- プラスチックが海へ流出し、海洋生物の生態系に悪影響を及ぼす
上記の中でも特に問題視されているのが、3つ目の「海洋プラスチックごみ問題」です。大量のプラスチックごみが海へ流出し、このままいけば2050年には魚の量よりもプラスチックごみの量が上回るといわれています。
海洋プラスチックごみ問題については、こちら「海洋汚染の現状・原因・問題を知って私たちにできることをやろう | 電気や環境問題のことならシナネンあかりの森メディア」の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
プラスチックごみ問題が注目されるようになったのは?
プラスチックごみ問題が注目されるようになったのは、海洋生物や人体への影響が明らかになってきたからです。2020年7月には、日本においてプラスチック製レジ袋が有料化したことにより、注目が集まっています。
また2021年6月には、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が公布されたことにより、プラスチックごみ問題がさらに注目されました。
プラスチックごみ問題が起こる原因とは
プラスチックごみ問題がここまで深刻化した原因は、プラスチックの生産量が増え続けたことにあります。
出典:世界のプラスチック生産量 1950年~2022年 | Statista
世界のプラスチック生産量は、2002年から2022年までで約2倍に増えています。世界的に見ればプラスチックの生産量は増えていますが、日本のプラスチックの生産量は減少傾向です。
日本プラスチック工業連盟の統計データによれば、2002年の生産量が約582万トンであるのに対し、2023年の生産量は約529万トンと約50万トン減少しています。
プラスチックは生ごみなどと異なり自然に分解されません。数百年経っても完全になくなることがないため、蓄積され続けるのです。そのため、生産量が増え、廃棄量も増えていけば、さまざまな問題が起こります。
プラスチックごみ問題による影響
プラスチックごみによる影響は、以下の4つです。
- 生態系のバランスが崩れる
- マイクロプラスチックとなり体内へ入る
- 簡単に分解されず蓄積する
- 燃やすときに有害物質が発生する
それぞれについて見ていきましょう。
生態系のバランスが崩れる
プラスチックごみは、生態系へ悪影響を及ぼします。特に海洋生物への影響が懸念されています。プラスチックごみが海へ漂流・停滞することで、海洋生物の移動を妨げたり、体に付着したり、誤飲したりといった悪影響があるのです。
例えば、プラスチックごみが漂流・停滞していることで、生育場にたどり着けない生物もいるでしょう。プラスチックごみによって海洋生物の数が減少し、絶滅する種が増えていくことが予想されます。
マイクロプラスチックとなり体内へ入る
マイクロプラスチックとは、5mm以下になったプラスチックのことです。このマイクロプラスチックは、魚や鳥などから発見されています。また食物連鎖によって私たちの体の中からも見つかっているのです。
マイクロプラスチックは、海で漂流している間に化学物質や環境ホルモンが付着します。私たちの体内に蓄積されれば、生殖機能・神経系・免疫系に異常が出ると報告されています。
私たちの体内に蓄積される量は微弱ではありますが、少なからず悪影響を及ぼす可能性のある存在です。
簡単に分解されず蓄積する
プラスチックは風化して小さくなることがあっても、分解されずに蓄積され続けます。一般的なごみは、微生物の力によって分解されます。しかし、微生物はプラスチックを分解できないのです。
プラスチックは紫外線や外部化の影響によって、小さな粒子(マイクロプラスチック)になります。マイクロプラスチックは分解されることなく、海を漂流し、魚や鳥に蓄積され、やがて私たちの体の中に蓄積されるのです。
燃やすときに有害物質が発生する
プラスチックごみを燃やすと地球温暖化の原因でもある「温室効果ガス(メタンガス)」が発生します。また燃やすときだけでなく、製造過程で温室効果ガスが発生します。
プラスチックごみ問題を受けて、近年注目されているのが「バイオマスプラスチック」です。バイオマスプラスチックは、「生物由来資源(再生可能資源)」が原料として使われています。
バイオマスプラスチックについては、こちら「バイオマスプラスチックとは?基本知識やメリットについて解説 | 電気や環境問題のことならシナネンあかりの森メディア」の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
プラスチックごみの現状
一般社団法人プラスチック循環利用協会の発表によると、日本の廃プラスチックの総排出量は823万トン(2022年)です。1人あたりのプラスチックごみの量は、アメリカに次いで世界で2番目に多く、日本はプラスチックごみ大国であることが分かります。
プラスチックごみの量は年々減少し、有効利用率は上昇しているのが、今の日本の現状です。ただし、2020年から2022年の期間だけ見れば、ほぼ横ばい状態となっています。
2024年9月時点では、2022年までのデータしか公開されていませんが、プラスチックごみの排出量が多い日本は、さらに力を入れていく必要があります。
プラスチックごみ問題に対する取り組み
プラスチックごみ問題に対する日本・世界・企業の取り組みを簡単に見ていきましょう。
- プラスチックごみ問題に対する日本の取り組み
- プラスチックごみ問題に対する世界の取り組み
- プラスチックごみ問題に対する企業の取り組み
プラスチックごみ問題に対する日本の取り組み
日本の主な取り組みとしては、「プラスチック資源循環戦略」「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」の2つです。
「プラスチック資源循環戦略」とは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、プラスチックを再生可能資源にリサイクルするなど、プラスチックの資源循環を目指す取り組みです。「3R+Renewable」を基本原則とし、6つのマイルストーンを目指すことを掲げています。
「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」は、プラスチックごみの海の流出を防ぐための取り組みです。対策分野を6つに分け、リサイクル施設の整備や「海ごみゼロウィーク」の開始などに取り組んでいます。
プラスチックごみ問題に対する世界の取り組み
プラスチックごみ問題に対する世界の取り組みを以下の表に簡単にまとめました。
国名 | 取り組み内容 |
アメリカ | プラスチックストロー・マドラーの使用禁止、マイクロビーズを含む洗顔料や歯磨き粉の製造・販売の禁止 |
中国 | 廃プラスチックなど固体廃棄物の輸入を禁止 |
フランス | 使い捨てプラスチック容器・カトラリーの使用を禁止、果物と野菜のプラスチック包装を禁止 |
イギリス | プラスチックのストロー・マドラー・綿棒の流通と販売を禁止、使い捨てプラスチックのカトラリー・カップ・食品容器の販売禁止 |
フィリピン | バッグやプラスチックシートの規制、使い捨てプラスチックの利用を禁止または規制 |
プラスチックごみ問題に対する企業の取り組み
プラスチックごみ問題に対する日本企業の取り組みを以下の表に簡単にまとめました。
企業名 | 取り組み内容 |
シナネン | 木くずや廃プラスチックなどの産業廃棄物を燃料・原料などに再資源化 |
無印良品 | マイボトルを持参した人が無料で利用できる給水スポットを店舗内に設置 |
ライオン | プラスチックのリデュース、リユース、リサイクルを推進 |
ダスキン | 化石燃料由来のプラスチックからバイオマスプラスチックに変更 |
カルビー | プラスチック使用量の削減と、環境に配慮した素材への転換 |
マクドナルド | 商品や使用済み調味料・材料のリサイクル |
イケア | 使い捨てプラスチック製品の廃止 |
プラスチックごみ問題解決に向けて私たちができること
プラスチックごみ問題解決に向けて私たちができることはたくさんあります。例えば以下の4つです。
- マイバッグやマイボトルを持参する
- 3Rを意識する
- 買わずに自分で作る
- 清掃などのボランティア活動に参加する
本記事を読み終えた後からでも取り組めますので、ぜひ積極的に挑戦してください。
マイバッグやマイボトルを持参する
マイバッグやマイボトルなどの「マイ〇〇」を持参し、ごみの量を削減することが大切です。レジ袋有料化に伴い、マイバッグを持参する人は増えています。
これまで1回使って捨てていたものを、ステンレスや布、竹など丈夫なものに変えれば、何度も利用することが可能です。すぐに捨てるのではなく、繰り返し使う習慣を身に付けましょう。
3Rを意識する
3R(Reduce・Reuse・Recycle)を意識することが大切です。3Rに取り組むことで、資源の枯渇を防ぎ地球環境を守ることにつながります。例えば、以下のようなことに取り組みましょう。
●無駄なものは買わない ●できるだけ長く使えるものを選ぶ ●詰め替え用のボトルを利用する ●食べ残しを減らす ●あまり使わないものはレンタルする |
3Rについては、こちら「3Rの意味とは?私たちにできる取り組みを分かりやすく紹介 | 電気や環境問題のことならシナネンあかりの森メディア」の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
買わずに自分で作る
自分で作れるものは買わずに作ることも大切です。家にある材料で必要なものを作れれば、無駄な材料を買わずに済みます。ごみの削減につながりますので、プラスチックごみ問題解決に貢献できます。
清掃などのボランティア活動に参加する
積極的に清掃などのボランティア活動に参加しましょう。先に述べたように海洋プラスチックごみのほとんどは、陸から流れ着いたものです。ごみを拾い正しく処理することで、海洋生物の生態系を守ることにつながります。
一人でごみを拾う勇気がない場合は、ボランティア活動などに参加しみんなで協力してごみを拾いましょう。
まとめ
プラスチックごみ問題解決に向けて私たちは、ごみの削減や温室効果ガスの排出量を減らす取り組みをしなければなりません。
どちらも意識するだけで簡単に取り組めることです。例えば、温室効果ガスに多く含まれている二酸化炭素は、電気を節約することで削減できます。また再生可能エネルギーを使った電力会社に乗り換えることで、地球温暖化防止に貢献できます。
シナネンあかりの森でんきは、再生可能エネルギー100%を使った環境に優しい電力を提供している会社です。プラスチックごみ問題解決に向けて、電力会社の乗り換えを検討してみましょう。